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藤本寿徳

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展覧会に向けてのメッセージ
「美の規範がないことについて」

福山の街並みは絶望的なまでに汚いと思っています。
そのことから話を始めます。
福山に限ったことではなく、日本全体がそうだと言えるのですが。

それとは対照的に、一度しか訪れたことがないのですが
スイスの街並みはとても美しいと思っています。僕の美意識にマッチします。

スイスの街並みの美しさを言葉にすると
「ストイシズム、シンプル、モデスティー」というキーワードがあげられます。

ストイックな人というと、悪いイメージを持たれる方も多いかと思いますが、
その意味、思想を正しく理解すると、それを素晴らしいことだと受け止めています。
その精神は、田舎の風景にも、都市部の商業建築や看板にも感じることができます。

シンプルという言葉の奥深さを説明する時に、
私はAppleのデザイナー、ジョナサン・アイブの言葉を引用します


「深く揺るぎない美しさは、シンプルさ、明確さ、効率の良さの中に存在する
真のシンプルさは、単に不要なものや装飾を省くだけでは生まれない
それは、複雑さに秩序をもたらす作業である」

apple製品の美を支えるデザイン哲学に共感します。
建築設計も様々な諸条件へ秩序をもたらす作業です。
それをシンプルにまとめあげる事が大事です

モデスティー(Modesty )という言葉は、謙虚さ、清貧という意味で使っています。
スイスの街並みを見て思うのは、これら3つののデザイン思想です。
結果的に周囲の美しい自然が浮かび上がり、美しい街並みが形成されています。

スイスの話をしてきましたが、スイスを見ているとこの「美の規範」が
共有されている事の素晴らしさに気づきます。
翻って日本には、日本の美の規範が共有されているのでしょうか?
規範が共有されているかいないかと言う事を問題にしたい。

スイスと日本では、気候風土、自然の植生、地理的歴史的背景からくる国民性など、
全く状況が異なっています。
日本は、温帯モンスーンに属する猥雑なアジア圏です。
スイスと同じ美の規範が共有される事を望んでもそれは不可能な事だと思っています。

しかし、それでも日本なりの「美の規範」が共有される時代が来ればといいと思います。
街並みが汚いのは、設計者の責任ではありません、市民一人一人の感性の集積です。
(設計者も市民の一人)
時間をかけてでも、瀬戸内の美しさに導かれた「美の規範」が
市民間で醸成される時がくることを
100年先、200年先の遠い未来になるのでしょうけど期待しています。

歴史を振り返ると、街はより美しくなる方向へ進んでいるので、
放っておいても自然とそうなる(民度が高くなる)
と楽観的でもありますけれども。

僕は都市に対しては絶望しています。それは欲望や経済の力が強すぎる場所だからです。
むしろ、県北の農山村に希望を見出したい。まだ手付かずのピュアさを残しているからです。
ただ、現状の農山村は問題が集積していて、僕の期待通りに進むことも難しいでしょう。
絶望的な状況には変わりません。

私の予想では、僕自身がそうであったように、これから地方移住する人達が増えたり、
生まれ育った地域に定着する若者が増えると思っています。
そこに可能性を見出したいのです。

私のプロジェクトは、このような事を考えながら、
施主と共に敷地探しから共に進めてきたプロジェクトが多くあります。

展示では、私の世の中に対する欲求不満と、施主と共に形にしてきた理想を建築化する方法をご覧いただきたいと思っています。

展覧会の会場風景です

https://www.flickr.com/photos/jutok/albums/72157719658798427


このように考えるきっかけとなった、僕が見てきたスイスの写真です

https://www.flickr.com/photos/jutok/albums/72157635232435817/

07:13, Sunday, Aug 08, 2021 ¦ 固定リンク

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