井原の家
 
シンプルコンクリート打放し住宅
 
コンクリート打放しの住宅
 
 
コンクリート打放しの住宅
 
 

 
コンクリート打放しの住宅
 
コンクリート打放しの住宅
 

 
 
 

「井原の家」

岡山と広島の県境、里山に建つ若夫婦のための住宅である。

施主夫婦は以前住んでいた市内のアパートを出て、自然豊かなこの里山に新居を望んだ。
市街地居住の利便性はなくとも、里山の暮らしの息づかいの残るこの地でつつましくも自然の豊かさを享受できるライフスタイルを望まれていた。

里山の風景と現代のライフスタイルの寄り添い方が計画の主題となった。
周囲の自然に対しておおらかに開きながらも、地域コミュニティと程よい距離感を保てる心地よいバランスを住まい手が調整できる住まいを目指した。

建物はトンネル状の寝室棟と、庇を大きく張り出したガラス張りの居間棟から構成されており、寝室棟には2つの寝室と浴室・洗面が、居間棟には玄関、台所そして居間を配置している。地下には23.5m2の比較的大きな倉庫を設け、家全体の収納量を確保している。

敷地の形状に応じて異なる床レベルを持つ各スペースは、中央のステップにより緩やかに繋がっている。寝室の引戸を開放すれば、すべての部屋がおおらかなワンルームのように感じられると同時に、家全体に山の空気が吹き渡る。

寝室棟のボリュームは道路からの視線を緩やかに遮り、ガラス張りの居間では、より外部の自然へおおらかに開かれた生活が可能である。同時に寝室棟は日中の直射日光の居間への貫入を大きな庇とともに和らげ、室内の熱負荷を軽減している。強い夏の西日は敷地北西側の木立がガードしてくれる。

家の内側だけで快適性を追求するのではなく、自然に寄り添いながら現代の住宅設備の利便性をバランスよく享受できる配置計画・プランニングを行った。

シンプルで簡素という伝統的な民家の佇まいを踏襲しながらも、現代のライフスタイルに沿ったより「開放感」や「安心感」のバランスがとれた空間性が実現した。元々敷地に自生していた木々に加えて植樹したケヤキが、敷地を周囲の里山と結んでいる。敷地境界を越えて里山の恵みを享受できる住宅が実現している。

 

 
「井原の家」で、施主と一緒に土地探しから始めた家づくりの話をブログにまとめました。
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里山の家の話 ・1-序
  ・2-設計相談
  ・3-土地購入
  ・4-ケヤキの杜
  ・5-ケヤキと芝
  ・6-新緑の季節
  ・7-加筆中
   
  ・番外-雑木林
   

 

photo by Kazunori Fujimoto


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