プロフィール
藤本寿徳

2024年4月
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18
19
20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

最近の記事
アスタリスクのミニムービー

大山6合目避難小屋の美しさ

かっちりつくる

展覧会中止のお知らせ

以前の記事
2024年 3月
2021年 8月
2020年 8月
2020年 3月
2020年 2月
2020年 1月
2019年12月
2019年 9月
2019年 8月
2018年 2月
2016年 8月
2016年 6月
2016年 5月
2016年 4月
2016年 3月
2016年 2月
2016年 1月
2015年12月
2015年10月
2015年 6月
2015年 4月
2015年 3月
2015年 2月
2014年12月
2014年10月
2014年 9月
2014年 8月
2014年 7月
2014年 6月
2014年 5月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年 9月
2013年 7月
2013年 5月
2013年 3月
2013年 1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年 9月
2012年 8月
2012年 7月
2012年 6月
2012年 5月
2012年 4月
2012年 3月
2012年 1月
2011年11月
2011年 8月
2011年 7月
2011年 6月
2011年 5月
2011年 4月
2011年 3月
2011年 2月
2011年 1月
2010年12月
2010年11月
2010年10月
2010年 9月
2010年 8月
2010年 7月
2010年 6月
2010年 5月
2010年 4月
2010年 3月
2010年 2月
2010年 1月
2009年12月
2009年11月
2009年10月
2009年 9月
2009年 8月
2009年 7月
2009年 6月
2009年 5月
2009年 4月
2009年 3月
2009年 2月
2009年 1月
2008年12月
2008年11月
2008年10月
2008年 9月
2008年 8月
2008年 7月
2008年 6月
2008年 4月
2008年 3月
2008年 2月
2008年 1月
2007年12月

 

トップページ
2008年 7月6日

木の家(Treehouse)
世の中には、建築の素人がセルフビルドで建てた魅力的で奇妙な建物がある。有名なところでは、郵便配達夫シュバルの家。30年をかけ配達途中に拾い集めた石で作り上げた「シュバルの理想宮(フランス)」や ロスアンゼルスのワッツというスラム地区でやはり30年をかけ、拾ってきたビンやタイルでサイモン・ロディアが作りあげた「ワッツタワー」など。二つとも文化財の扱いを受け観光名所になっている。検索したら簡単に写真にたどりつけるでしょう。

日本でもそういう事例は結構聞くが、現在では取り壊されてしまったものも多い。そういう建築ばかりを紹介するような書籍もあるのだが、下の写真の「Treehouse(木の家) 」(命名者=自分)は今まで書籍などで紹介されているのを見たことがないので、自分が第一発見者だと思い込んでいる。8年前偶然「発見」した。

treeh











家の中央に木が生えている、究極のツリーハウスである。近くによって、注意深く観察すると、建物の周囲はベニヤやサッシなどの大きさもバラバラ、貼り方もバラバラ、セルフビルド特有の匂いをプンプン漂わせている。大抵この手の制作者は変わり者と相場が決まっている。いきなり質問をしようものなら瞬時に切り捨てられる危険が高い。
運良く、建物の向かいのクリーニング屋さんが開いていたので、近所の事情にも詳しいだろうとの期待を抱きお店に入って質問してみた。

ツリーハウスの横に住むお爺さんが、木を囲むように小屋を作ったのが始まりで、材料は最初から拾ってきたもので作られたようだ。当初は植物の温室のような小さな小屋であったが、時間をかけそれは上へとどんどん大きくなり、ついには写真の高さまで達したらしい。どんな人ですか?と問うたところ、普通のお爺さんですよ。元気ですし声をかけてみたら。とニコニコしながら期待はずれの答えが帰ってきた。半信半疑である、このような物を作れる人が普通であろうはずは無いのである。普通にこれを作られては設計者としての自分の立場を失ってしまう。よって直接取材にはいまだ至っていない。

奇妙なセルフビルドであればなんでもいいというものではない。このツリーハウスは美しい。

(2010年5月追記)
本当に残念ながら、既に取り壊されてしまいました。

17:41, Sunday, Jul 06, 2008 ¦ 固定リンク


木村家住宅
木村家住宅(徳島県三好市(旧)東祖谷村)

重要文化財といっても個人所有で現在も使われている農家も多い。この木村家も個人所有である。木村さんの敷地内にお邪魔してご挨拶して見せていただくことになる。敷地内の大銀杏が立派、建物同様、樹齢300年らしい。ちいおりのすぐ近くにあるのだが、ちいおりも、この木村家とほぼ同じつくりだと考えてよい。120平方メートルと広い農家である。村内にあった武家屋敷を移築し農家に改築したもの。

ちょうど昨年屋根の葺き替えが終わっているので綺麗な状態が見れた。23年ぶりの葺き替え、20年に一度葺き替えるぐらいがちょうどいいらしい。岡山県の8人の職人によって5ヶ月の工期をかけ1750束の茅(1束=10kg前後)が葺かれた。

縁側にとりついているのは「前便所」。通常厠は別棟のことが多いし、家の中心でしかも南側の方位がいい縁側に便所を据えるのか不思議になる、ちいおりと四国民家村の祖谷の農家には無いかたちである。

祖谷の農家では子世帯のオモヤと親世帯のインキョとが、2棟が並んでひとつの敷地に建つ伝統がある。四国民家村でも、2棟が並んだ祖谷の民家をみることができます。この木村家では、建物向かって右側に現在のお宅が配置されています。


kim1kim2kim3





kim4kim5kim5
10:01, Sunday, Jul 06, 2008 ¦ 固定リンク


旧道面家住宅
旧道面家住宅(島根県吉賀町(旧)六日市町)

重要文化財の民家は、いきなり現地に行っても公開されていないことも多々あるが、(事前に教育委員会に連絡してお願いすれば可能なことも多く、この道面家も内覧は可能)訪ずれた日は偶然、ご近所の老人会の方が手入れをされていたので中を拝見できた。月に一度、茅葺き屋根のためにかまどに火を入れ屋根をいぶしたり、周囲の除草をしている。11月から屋根の葺き替えを行う予定とのこと。47平方メートルの小さな農家。

じっと座って当時の生活を想像してみる。周囲は綺麗な田園地帯。窓は無く暗い、開口が小さいのは雪深い石見地方の地域性だと思う。タタキ、柱梁、建具、土壁、茅葺き屋根からなるシンプルさがいい。そしてシンプルな平面から伝わってくるものは大きい。かつての生活を想像すること、そして人々が力強く生活した証を確認することが民家探訪の魅力である。周囲の田畑や山の景色は300年前とほぼ同じである。

dou3dou1dou2dou4
09:22, Sunday, Jul 06, 2008 ¦ 固定リンク


△ページのトップへ