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*福山にある長者ヶ原断層についての研究論文です。 大きな地震を起こす可能性があることが指摘されています。 活動の周期について、何年〜何千年、何万年先かには触れてないけれど、活動の周期についての研究が進むことを望みます。 (wikiより 日本の活断層は、第四紀の後半(過去数十万年程度以内)に活動した断層を評価し、再び活動するか否かを判断して決定する(ほとんどの断層は再活動を否定する根拠は見いだせないので、最近の活動歴が判明すれば事実上活断層となる)。その平均変位速度の大きさでAA級からC級まで分類する。できるだけ古い活動の時期と現在までの移動量を測定し、1回あたりの地震による変位量をもって割戻せば、平均的な地震の発生間隔を推定することが出来る。)
「長者ヶ原断層・芳井断層の断層変位地形と最新活動時期の検討」 熊原康博*1 中田 高*2 近藤久雄*3 安藤聖 活断層研究会(http://topo.earth.chiba-u.jp/afr/index.htm)「活断層研究24号」より抜粋して転載
はじめに
広島県福山市西部に発達する長者ヶ原断層は,北東−南西走向の右横ずれ変位をもつ長さ8kmの活断層とされ,変位地形の明瞭さの程度から確実度II,活動度B級とされていた(活断層研究会編,1991). 最近では,中田・今泉編(2002)は,本断層が長さ10kmで確実度Iの活断層であることを明らかにした.
本研究では,空中写真判読,地表踏査,トレンチ掘削調査から得られた結果を基に長者ヶ原断層及び芳井断層の変位様式や最新活動時期について検討する.
考 察 1.「活断層モデル」に基づく長者ヶ原断層と芳井断層の関連性
したがって,両者は一括して活動する起震断層である可能性が高いと判断される.
長者ヶ原断層と芳井断層は独立した起震断層とした場合,松田(1975)の経験式によれば,それぞれマグニチュード6.5程度の地震を発生すると予測されるが,一連の長さ30kmとした場合,マグニチュード7以上の大きな地震を発生させる可能性が高い活断層となり,地震規模の予測が大きく異なることになる.
2.長者ヶ原断層の最新活動時期の検討
長者ヶ原断層は,長者ヶ原の南で極めてシャープな比高1.5mの低断層崖が発達すること,神辺平野の現成の扇状地面や沖積低地面に変位を与えていることから,ごく最近の地質時代に活動したことが推定される. 本断層の最新活動時期は少なくとも西暦67-211年以降の歴史時代に活動したとみられる. さらに,断層変位が現在の耕作土の直下まで及んでいることから,条里制の地割に斜交する構造は,条里制施行以降に形成されたと推定される.
神辺町教育委員会によると,長者ヶ原断層から約2km東に離れた地点にある備後国分寺跡の御領遺跡で,弥生時代の地層の下部から中世遺物包含層にまで達する液状化跡とみられる砂脈が発見された. この砂脈の上限は不明であるが,少なくとも中世以降にこの地域で大きな震動が発生したと判断され,長者ヶ原断層の最新活動と関連がある可能性がある.
なお,広島県南東部における地震に関する歴史記録を検討すると,新収日本地震史料補遺(東京大学地震研究所編,1988)では「永正七年八月八日(西暦1510年9月21日)に備南地方大地震アリ〔備後福山藩編年史料〕」と記載されている. ただしこの記録の内容を他の史料から裏付けることはできず,この記録の信頼性や長者ヶ原断層の活動との関係性については,今後の検討課題である
(藤本補足 (永正7年8月8日) 摂津・河内地震 - M 6.5〜7.0、死者多数。余震が2か月あまり続く。 天災地変に関する調査(東京府学務部社会課, 1938 - 227 ページに 永正七年八月八日攝津.河内地方大震あり、人畜 の 被害多 く是後七十五日餘地震絶えず。所々山崩れ多く 、二十七日に至り遠江 の海辺潮溢れ、数千の土地民家とともに流れ死者一万余人 などがあり、震源は長者ヶ原断層ではないと思われる)
時代:1510年=500年前 室町時代後期 戦国時代 備後国守護1499年〜1512年 - 山名致豊 10代将軍足利義稙のころ 福島正則 広島藩慶長5年(1600年)〜元和5年(1619年) 初代福山藩主水野勝成の入封は元和5年(1619年) 福山城の完成は元和8年(1622年) 建造物:1510年以前の建造物 (尾道)国宝・浄土寺多宝塔 元徳元(1329年)鎌倉後期 (尾道)国宝・浄土寺本堂 真言宗泉涌寺派 正中2(1325年)火災、 嘉暦2(1327年) 貞和元(1345年)南北朝に再建 (福山)国宝・明王院本堂 真言宗大覚寺派 元応3(1321年)鎌倉後期 (福山)国宝・明王院五重塔 貞和4(1348年)室町前期 (三原)重文・仏通寺 臨済宗佛通寺派 含暉院地蔵堂 応永13(1406年)室町中期 (尾道)重文・常称寺 時宗 本堂 室町中期
参考 (福山)重文・太田家住宅 18世紀中期の建築
)
1707年 10月4日 宝永地震(連動)(福山津波1.5m 震度5〜6) 山本尚明(2003): 瀬戸内海の歴史南海地震津波について, 歴史地震, 第19号, 153-160. 羽鳥徳太郎(1988): 瀬戸内海・豊後水道沿岸における宝永(1707)・安政(1854)・昭和(1946) 南海道津波の挙動,地震 第2輯, 41, 2, pp.215-221.) 1854年 12月24日 安政南海地震 (尾道津波2 震度5〜6)
おわりに
本研究で明らかになった点は以下の通りである.
3.長者ヶ原断層を横切るトレンチ掘削調査から最新活動時期は少なくとも西暦67-211年以降であること,さらに断層変位が耕作土の直下まで及んでいることから,条里制施行以降に本断層が活動したことが明らかになった.
4.芳井断層の南延長を新たに発見したことによって,長者ヶ原断層と芳井断層間に明瞭なギャップがなくなり,両断層が一連の断層帯を形成する可能性が高い. 断層帯が一括して活動した場合,マグニチュード7以上の大きな地震を発生させる可能性がある.
(藤本補足)
活断層の確実度・活動度・活動間隔
(1) 活断層の確実度とは、活断層の存在の確かさをいい、空中写真判読の結果をもとに、確実度I(活断層の存在が確実なもの)、確実度II(疑いがあるが基準地形がないなど、決定的な理由がないためにIよりは確実度が低いもの)、確実度III(活断層以外の地質現象も考えられ、可能性が小さいもの)の3つに区分する。
(2) 活断層の活動度とは、活断層の活動の程度をいい、過去の平均変位速度(s)で表し、1,000年間あたりの変位量を、10m,1m,10cmを境に、AA,A,B,Cの4ランクに区分する。
AA級活断層-----平均変位速度が10m/1000年以上(南海トラフ断層など) A級活断層-----平均変位速度が1m/1000年以上10m/1000年未満(四国中央構造線など) B級活断層-----平均変位速度が10cm/1000年以上1m/1000年未満(六甲-淡路断層帯など) C級活断層-----平均変位速度が10cm/1000年未満
(3) 活断層の活動間隔、すなわち地震の発生間隔(再来周期)は、平均変位速度が早いほど間隔は短く、平均変位速度が同じならば、断層の長さが長く、発生する地震の規模が大きいほど活動間隔は長くなる。A級、B級の典型的な活断層の平均活動間隔(地震の再来周期)は、次のように推定される。
ランク長さ 平均変位速度 活動間隔 (マグニチュード) A級80km 5mm/年 1,300年 (8.0) B級20km 0.8mm 2,000年 (7.0) (活断層研究会、1991より)
(その他の参考論文) *活断層研究23号 震源断層となりうる活断層とリニアメントの検討―中国地方を事例として― http://topo.earth.chiba-u.jp/afr/backnumber/No23/23号11高田他.pdf |
18:45, Wednesday, Jan 20, 2010 ¦ 固定リンク
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